日系社会ボランティア, 日系社会隊員紹介

ブラジル隊員リレー① ソロカバのマイ先生

他の日系社会、他のボランティアのことも知りたい、そして知ってほしい。そんな思いで、他のブラジル隊員に寄稿してもらいました!
第1回目は、マイさん。訓練時代から笑いのツボとツッコミどころを同じくさせてもらっているお姉さんです。自由に書いてください!とお願いしました。

 


 

出身県の地方新聞、ブラジル便り、JICA事務所のFacebookページなど、数々の記事そして報告書も4回ほど書いてきていますが。今回が一番緊張しています。

縛りがない
= 何でも書ける
≒ 何にも書けない

人生と同じ。他人(ひと)と比べて縛りがないので、何でも選べるんですけど。そうすると何を選んでいいかわからなくなります。

つまらないこと選んでもしょうがない、どうせならおもしろいネタになるようなことを選ばないと。って思うと自分の選択に自信が持てません。

そんな中で選んでみたJICAボランティア。ありがたいことに合格させていただき、2016年度3次隊としてブラジルに赴任しました。残すところあと半年。

半年後にまた何かを選ばなきゃいけない…

 

 

キャラクター(肩書き):スキマ薬剤師

これまでに選んできたことをわかりやすく年表で。

2008 某大学薬学部卒業/某ドラッグストア入社
2010 退社/ふらっと地球一周の船旅
2012 アメリカの某NPO団体主催のアフリカボランティアプログラムへ参加
(極寒のミシガン州と灼熱のアフリカ大陸南部のマラウイという国で18カ月を過ごす)
2015 シドニーで日本語教師養成講座を受講しそのままシドニーからJICAボランティアへ応募
(健康診断に800ドルって。絶対に負け(落ち)られない戦いでした、勝手に)
2017 2016年度3次隊で日系日本語学校教師としてブラジルへ

 

見ての通り履歴書の職歴・経歴欄を荒らすことだけに精を出してきました。ちなみに空白の部分は日本で薬局薬剤師をしています。いわゆる隙間薬剤師です。はい、作りました。そんな肩書き聞いたことないです。

こんな履歴書を持ってのこのこ薬局に面接に行くところを想像してみてください。突っ込みどころ満載、面接はのびるのびる(雑談で。)

 

 

ステージ1:ソロカバ

そんな私のブラジルでの任地はサンパウロ州ソロカバ市。サンパウロの中心から西へ100キロ弱、ピカピカした田舎です。

まだ私がソロカバを知らない頃、「ソロカバへ赴任します」と言ったときに、サンパウロで出会った方がした表現です。当時は「???」でしたが、今はなるほどという感じです。

むしろ若干都会寄り。何でもあるので、わざわざサンパウロまで出なくても欲しいものはだいたい手に入ります。

ただしダイソーを除く。ダイソー早く来い!と願って止みません。まあ時間の問題でしょう。日本企業も多数進出しているため日本人の駐在員も一定数います。オアシスです。仲良くさせてもらっています。

 

 

日本語教師たるもの、授業の最初は必ず生徒に「週末に何をしましたか」という問いかけをします。「何もしませんでした」が9割。そんなわけないでしょうが、ということで問い詰めても、「ショッピング(センター)に行きました」が関の山。この問答を懲りずに繰り返しています。

言い換えれば娯楽があまりない場所です。ソロカバは内陸なので海も遠く平地で山という山もありません。自然が恋しいです。

ブラジルという大自然に恵まれた国にいながら自然が恋しいというのもおかしな話ですが、特に私の住んでいるセントロ地区はアスファルトに囲まれています。

 

 

ステージ2:日本語学校

そんな私の日頃の活動は、こんな感じ。

  • 月曜日から木曜日まで一日4コマ(1コマ90分)日本語の授業
  • 火曜日に1コマ書道、金曜日に日本文化の授業
  • 土日はイベントがあればお手伝い、なければオフ

活動について話してくださいと言われても何を話せばいいのかわからないのが本音です。

私が受け持っている生徒たちは日本語レベル高めで、年齢層も最年少で13歳なので宇宙人と呼ばれる年齢の子どもはいません。

ちなみに最年長は73歳。両親の出稼ぎで日本へ行き、日本でいくらか教育を受けて戻ってきた子(つまり日本語ペラペラ)、アニメオタク(オタクって悪口じゃないよね?)。

祖父母が一世(日本人)だから聞いてわかるけど喋りに自信がないから日本語を習いたいおじいちゃん、公文で文法はばっちり習ったけど会話の練習をしたいおじさん…略…やはり日系人の割合が高いですが、非日系の生徒もちらほらいます。

 

赴任当初、「この生徒たちが先生の担当です」と紙を渡されました。ざっと15-20人分の名前と情報。

さらっとしてる!!!

 

大事なことなのでもう一回言います。

 

さらっとしてる!!!

 

日本語教師未経験で応募しているため、ぶっつけ本番、体当たりで始まりました。もうとりあえず目の前の生徒たちと向き合うしかない。

日本語レベル、日本への関心、趣味や興味の対象、性格・・・探る探る。そうやって人間関係を築きながらついでに日本語も勉強しちゃう?といったスタイルで入っていきました。

 

赴任当初に限らず、突然「来週からこの生徒さん先生に渡します」だとか、「新しく入りたいこの生徒さん先生にお願いします」ということも日常的にあります。

えーむり、と思うこともあります、正直。(今にも増して仕事増えるし。)

でも私はボランティア、ノーと言わないボランティア。言われたことには応じます。そして、無茶ぶりもけっこう何とかなるもんだな、というのが一年半経ってみての感想です。

 

もうおわかりの通り、こんな感じなので「がっつりこれをやってます」と胸を張れる活動、成果…そんなものはありません。

スーパーマリオブラザーズでマリオがひたすらその面のゴールに向かって進んでいく感じ。

ピーチ姫を救出するという大本の目的、設定はさておき、ひとつひとつの面においてマリオってこれといって特に何をしているわけでもないじゃないですか。

でもいつもなぜか走ってるあのおじさん。私も同じ。

走りながら次々と出てくる敵を倒したり、やられてみたり、飛んだり跳ねたり大きくなったり小さくなったりしながら、2年という任期を全うしているに過ぎません。

 

 

ステージ3:私って必要?

私はここへ何をしに来たんだろう。マンパワーでしかない・・・

一年目の悩みの種。日本育ちのブラジル人の同僚がいます。日本育ちなので日本人の感覚を持っていて細部にもよく気付く上、日本語、ポルトガル語のバイリンガル。私なんかよりよっぽど有能。私は必要ないという思い。正直今も拭い切れてはいません。

でもそんな風にモチベーションが下がったとき、いつも私を救ってくれるのは生徒の何気ない一言だったりします。

「先生のおかげです、ありがとう」
「先生が教えてくれたから合格した、今年もよろしく先生」
「先生帰らないで」

お話大会で賞が取れたとき、日本語能力試験に合格したとき、日常会話の中で。生徒の言葉で、ああここに来た意味、あったんだ、と思えます。

自己評価はいつも低く、何をしてあげられたわけでもないと思っていますが、感謝を言葉で表してもらえることで満たされる何かが確かにあります。

 

「先生このアニメを見て!」
「映画見に行こう先生!」
「テニスしない?」

年の差がうんとあるにもかかわらず、私を仲間に入れてくれる生徒たち。ありがたいなと思いながら、友達先生を貫いています。

 

 

ラスボス:ボランティア活動とは

海外ボランティア経験はこれが初めてではありません。前回はアフリカのマラウイという国で。そして今、ブラジルで。

ボランティア:自主的に社会事業などに参加し、無償の奉仕活動をする人 (大辞泉)

とあります。でも、私にとってその奉仕活動は、自分を成長させるための手段であって目的ではないということがわかってきました。

ボランティア活動を通して色々考えること、深く悩むこと、自分自身をもっと知ること。いいことをしてあげようだとか、助けてあげようだとか思うことはおこがましく、誰かに何かをしてあげるよりも現地の人々から学ぶことの方が断然多いです。それはマラウイでもブラジルでも同じ。

 

日常のマリオライフに追われているとついつい忘れがちですが、そういえば応募時の提出書類で書かされた「自身が考えるボランティア活動の意義、目的」の項目を見直してみました。

 

ボランティア一人に世界を変えるなどという大きなことはできないかもしれません。何かを成し遂げた、何かを教えた、それは単なる自己満足に過ぎないかもしれないとも思います。
それでも、たった一人でも、自分と出会ったことで未来が変わったらそれは意義のあることだと思います。 略

原点に戻る、初心忘るべからず、という言葉があるように、まさに私のボランティア活動の意義は応募時のこの質問に対する答えに尽きるんだと思います。

大きな何かを残せなくても、ここで関わった生徒ひとりひとりの心に、共に働いた同僚の先生たちの記憶に、出会った人たちの中に、何らかの形でいつまでも残るような存在であれれば・・・

そう願いながら、残りの半年もマリオのごとく疾走しようと思います。

 

 

 

 

おまけ

半年後にまた何かを選ばなきゃいけないことが頭にちらつき心の平穏を奪われがちな昨今ですが、これまで様々な面をクリアしてきた私が、今いるこの面をクリアした後にしようと思っていること、それは一度立ち止まって考えることです。

ひとつひとつの面で自分が走っている意味を見出そうとするのではなく、『ピーチ姫を救出する!!!』という根本の設定の方、人生の目標、行きつく先にあるブレない何か、自分が本当に求めているものを明確にしたい、そう思っています。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

そしてこの場を提供してくれたみかりん!

ありがとう!楽しかった!


 

 

 

コメントを残す