日系社会ボランティア, 活動ログ

第4号 活動報告書

着任から1年半後に提出した、第4号を公開します。

派遣国:ブラジル
職種:日系日本語学校教師
派遣期間:2016/6/27〜2018/6/26
提出:2017年12月

 

目次

  • 報告書要約
  • 活動の進捗状況
  • 課題解決に向けた取り組み・進捗・結果
  • 活動事例の紹介・成功例・失敗例
  • 受け入れ国の人々の変化
    1) 配属先等任地の人々がボランティアの活動によって変化したこと
    2) 配属先等任地の人々の日本や日本人に対する意識について
  • そのほか特記事項
    日本と受入国の違い

 

1. 報告書要約

これまでの進捗の確認と活動の終了に向けての展望を行う

今から約2年前に再スタートした日本語学校だったが、生徒の事情により多少の出入りはあるものの、全体的な生徒数は増加傾向にある。少しずつではあるが各生徒の日本語能力も向上し、国内の期間が主宰するテストに挑戦する生徒もいた。日本語だけでなく、定期的に日本文化に触れる機会を作ることもできてきた。

現地教師も協力的かつ熱心に活動している一方で、学校役員や教会(配属先)全体での日本語学校に対する理解が得られていないのが現状である。現地教師・ボランティアともに教会へのコミュニケーションは図っているが、日本語学校への初代ボランティアが派遣されて1年半(3ターム分)が終了してたが、年間スケジュールやカリキュラムは存在しておらず、作成すべきとは考えてない。また、保護者からの連絡やイベント毎の出し物は現在ボランティア主体で動いており、後任が派遣されなかった場合の対策が取れていない。

授業とイベント参加が主な要請であったが、これらの活動を通して「日本人ボランティアのポジション」や「ボランティアとしてできること・配属先がするべきこと」を少しずつ見極めつつある。

残り半年の任期の中では、引き続き学習者のモチベーションの維持・向上につながる楽しい授業を提供していくとともに、後任が来た場合と来なかった場合の両方を想定して、配属先との引き継ぎ準備をしていきたい。例えば、ボランティアにはどんなことをしてほしいか、配属先はどの点で協力していくか、を具体的に確認していく。

 

2. 活動の進捗状況

8月より現地教師を1人増員、2クラスがさらに開講し生徒は50人を超えた。着任調書に比べて約30人の増加である。これに伴い、活動のメインである会話の授業も2クラス分増枠。入門レベルの年少者と青年の計12名を新たに担当することになった。

新クラスも含め、会話の授業では今まで通り楽しく日本語を使うこと・日本語でやりとりする状況をつくることの2つを意識して授業を行っている。また、月1回の”文化の授業”では、折り紙や工作、書道を通して日本文化の紹介と普及にも努めている。

配属先の要請にあった”おはなし(スピーチ)”について。日系日本語学校ではよくある”おはなし会 "が配属先にはなく、実施できる余地がまだないため、学期末の保護者会議や敬老会などのすでにあるイベントの中で、生徒たちにスピーチ発表の時間を設けてみた。

要請にあった「日本語能力試験対策」については、対称性とはいない状態だったが「サンパウロ日本語センター」が能力試験に満たない学習者向けに実施しているテストの受験を提案したところ、10数名の希望者が初めて受験した。結果、学習者のモチベーションが上がり、能力試験希望者も出始めた。

 

3. 課題解決に向けた取り組み・進捗・結果

第3号で記入した課題「配属先のボランティア活動に対する姿勢」は未だ大きな改善は見られない。着任長所から学校役員による授業見学や定期的な会議は提案してみたが、実施されたことはない。そこで、現地教師と相談した上で、学校役員に対して要請書を作成し、提出した。要請書では下記のような日々の業務で教師・ボランティアが困っていることについて記述し、役員に対して改善の協力を求めた。

  • 授業中に日本語学校に対する問い合わせの電話や訪問があった場合、教師が対応している。
  • 他の部活動の人が授業の存在を知らずに教室の横で騒ぐため授業の妨げになっている、など

また、ボランティアは配属先の各部活動の顧問には生徒も保護者もおり、現地教師よりボランティアの方が役員全員と面識があったため、ボランティアと現地教師の意向は示すことができた。要請書と役員会で提示した内容についての返答はまだ得られていない。根本的に学校役員自身もボランティアとして働いているため、モチベーション向上が難しい部分もある。

 

4. 活動事例の紹介・成功例・失敗例

1) 活動のプロセスにおいて用いた工夫と、その結果

着任当初から今まで続けてきた配属先のイベント参加と子供達への新しい授業は、地道な活動ながらも信頼関係を作るためには欠かせないプロセスだったと考える。イベント参加では主に生徒の保護者と学校外の会員との交流の時間となっていた。

また子供たち「おもしろい先生」だと思ってもらうために、楽しい授業・おもしろい教室アクティビティの工夫は欠かせなかったと感じている。

2) 結果につながらなかった事例について

項目2でも述べたように、学校のトップの人間の意識を変えることは難しい。また、現地教師の働き方を変えることもすぐにできることではない。例えば、授業日誌が存在しないため、インターネットで共有できる入力式のシートを作成したが、2ヶ月ほどで活用されなくなった。これは現地教師に”毎日記録する”ことの重要性が理解されないまま始めてしまったことと、毎日記録するという習慣が(ブラジルに)なかったからである。

 

5. 受け入れ国の人々の変化

1) 配属先等任地の人々がボランティアの活動によって変化した事項

イベントや部活動の中では「日本語学校やボランティア活動の周知」にとどまっていたが、交流が進む中で日本語学校の様子を聞いてくる人やJICAの日系研修に興味を持ってくれる人が増えた。「自分も勉強しなければならないと思っている」「どんな授業をしているのか」など。「日本人の先生が来たので日本語を話さなくては」と子供も大人も緊張気味だった着任当初に比べ、「少しだがコミュニケーションができるようになった」「自分の子供の発音だいぶ良くなった気がする」という声を聞くようになった。

2) 配属先等任地の人々の日本や日本人に対する意識について

一部の日系人ん(特にご年配の方)には、”日本人は自分たちの祖先だから素晴らしい民族にちがいない”という理想像がまだ残っており、3世以降のブラジルに同化した世代にとっては”日本人=祖父母の世代・昔の人”というイメージがあった。しかし青年ボランティアとの交流の中で日本人に対するイメージは、”自分に近い世代・同じ趣味も共有できる存在”に少しずつ変化しつつあると感じる。

 

 

6. その他特記事項

1. 日本と受入国の違い:お年寄り、妊婦に対する社会の態度や姿勢

休日や研修でのサンパウロしないへ移動する際は地下鉄を利用するが、「席を譲る」ということにおいては日本よりもブラジルの方が進んでいると感じる。

ブラジルの治安上、地下鉄内で寝ている人はほとんどいないにしても、お年寄りや妊婦。小さい子供を抱いている人には必ず席が譲られる。日本では寝たふりをして譲らない人や、譲れと強要してくるお年寄りがしばしば話題になっているが、ブラジルではそんな光景は見たことがない。

“おなかに赤ちゃんがいます”マークや席を譲るためのスマホアプリがなくても、ブラジルでは自然に行なわれている点で、日本との大きな違いを感じる。日本のホスピタリティーやサービス精神は素晴らしいと言われているが、海外からも学ぶべき部分は大いにあると思う。

 

 

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